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どんぐり舎。第48話 [東京の喫茶店]

ある春の日、どんぐり舎2年生になった僕は、おじいちゃんといつものように仕事をしている。もうこのころになると、どんぐり舎の仕事も慣れ、そして楽しくてしょうがなかった時期だったかもしれない。よく話す常連のお客さんとの会話はいつも楽しかった。僕の知らないことをたくさんユーモアたっぷりに教えてくれた。もちろんコーヒーをつくるのも楽しかった。そして新しい常連さんができ始めるのもこの時期の風物詩。春の季節は、出会いの季節でもあったのです。ぼくと同じ年くらいの大学生がたくさん、どんぐり舎に押し寄せてくるのも、みていて、とても楽しい気分にさせてくれた。また何人かの芸能人もよくきていて、それも気分を高めさせてくれた。そんな春の季節。おじいちゃんは、春の季節になると、なぜだかテンションが高く、張り切る傾向にある。それは、しばらくお休みしていた、野球中継が始まるからだと、どんぐり舎の家族の人が皆、口をそろえる。あるとき、仕事中の出来事。お客さんがこない時間があった、夕刻7時くらいのことだろうか。突然、「他の店の客の数を数えてこい」みたいなことを言われた。ぼくは、「は?」という感じで、最初意味がわからなかった。「え?なに?」と、問いただすと、「他の店の客数がきになる」という。つまり、うちの店は今暇だが、他の店はどうなのか?という心配だったのだ。は〜、そういうことか、と思い、納得したわけです。西荻窪という場所は、とても喫茶店の多い地区なのです(個人の経営する喫茶店です、このころはドトールやスターバックスといったチェーン店が西荻にはないという、珍しい所だったのです、今はありますが)。つまりライバルが多いんですね。ぼくもこのころになると、いろんな喫茶店にいくようになっていたので、西荻窪にたくさん喫茶店があることはよ〜く知っていました。そしてとても魅力的な喫茶店が多いのです。ぼくはわかりました、と言い、ぼくが知る西荻窪の他の人気のある喫茶店を見に行きました。ダンテ、それいゆ、物豆奇、赤レンガ、などを中心にみにいきました。ん〜こんなことをしたのは、後にも、先にもこの1回だけ。とにかく春のおじいちゃんは、とても張り切るから、なにを言い出すかわからないところがありましたね。その後、アコーディオン事件ってのもありました笑、この話は後ほど。(つづく)
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どんぐり舎。第47話 [東京の喫茶店]

T井君が入って、2週間くらいした、ある日のどんぐり舎での僕とおじいちゃんとの仕事。おじいちゃんがなにやら、いっている。ぶつぶつと。「T井が割ったんだ。」と連呼している。ぼくはすかさずおじいちゃんに聞いてみた。「どうしたんですか?T井くん?」「T井が砂糖の器を割ったんだ」という。どんぐり舎には、各テーブルごとに砂糖が入った器がおいてある。ガラス製のものから、焼き物っぽい素敵な器など。それをどうやらT井くんが割ったらしい。T井くんはまだ研修中で、K本さんと一緒に仕事をしている。どうやら仕事の最中にうっかり器を落としたかなにかで、器に大きなヒビをいれてしまった。ぼくはその器を確認しようと思い、「どの器ですか?」ときくと、静かにおじいちゃんがその器があるテーブルを指差した。1番テーブルである。4人がけの一番広いテーブルで、そこには、ボンドで補修された器があった。おじいちゃんは、新人にたいする失敗には結構厳しい。そして、かならずできる先輩と比較して小言をいうことがある。これは、ぼくもはいりたてのころにちゃんと洗礼をうけた。ぼくがはいったときには、失敗するたびに「K本はちゃんとやった」「K本はうまい」「K本はしっかりしている」など、さんざんK本さんと比較されて、結構落ち込んだりしたものだ。しかし実際K本さんは、ぼくが、わずかな時間しか一緒に仕事をしてないにもかかわらず、すごい頭がよくて、仕事もできて、話もおもしろいなぁ〜とおもっていたので、おじいちゃんがK本さんを褒めるのはとても納得がいく。だからしかたがない、とにかく今は辛抱だと、あきらめてもくもくと仕事をおぼえることに集中していた。そして今度はT井くんの番がきてしまった。早速ミスをしたので、ぶつぶつとおじいちゃんは小言をいうのである。しかし社会にでると比較されることの連続なんですよね。だからこの時に比較され慣れるのはよかったことではないかと、今を振り返って、おもうのであります。(つづく)

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どんぐり舎。第46話 [東京の喫茶店]

腰をかがんでカウンターの中にはいると、ちょうどすぐ頭上に湯沸かし器があり、その横あたりにおおきなカレンダーが貼ってある。そしてそのカレンダーに、1日1日その日に入るバイトさんの名前とか、いろいろ業務的な内容の書き込みとかがされている。ぼくらは暇なときにそのカレンダーをみて、シフトの確認なんかをしていた。そしてバイトさん同士は基本的に一緒に仕事をしないので、カレンダーに書いてある名前で、どんな名前のバイトさんがいるとかはわかるんだけど、どんな顔をした人かは知らない。というと語弊があるが、最初に先輩のバイトさんに教わるときに2、3回あったきりで、もうぜんぜんその先輩の人含めほかのバイトさんとは誰ともあわないということが、このどんぐり舎のバイトではおきるのです。ほかのアルバイトとかではありえないことですが。ですから最初の1年は、ほんとに最初に教わった先輩のK本さん以外、誰とも会いませんでした。結構孤独なバイトなんですね。店を閉めるときは一人だし。そして季節は3月、大学4年生のH山さんが大学卒業でやめたので、あたらしくバイトを一人雇うこととなった。残ったのは4月から大学3年になるぼくと、こんど4年になるK本さん、2人。基本的に3人は必要なので、「もう一人」となった。そこである日カレンダーをみてると、T井という見慣れない名前が書き込まれていた。ぼくはすぐにおばさんに聞いた。「新しいひとはいったんですか」すると「そうよ、K本くんのサークルの後輩の子なんだけどね、今1年生かな」という。たしかK本さんは空手のサークルにはいっていたよな。とおもい、ふ〜んどんなかんじの子だろ、とおもっていた。そして最初のバイトの研修は、やはりK本さんがT井くんの担当になるという。もちろんK本さんの紹介で、T井くんがどんぐり舎のバイトをすることになったんだから当然なんだけど、あ〜ぼくも人に教えてみたいな、とそのときおもった記憶があります。しかしぼくには白羽の矢はたたず。ところで僕自身はこのバイトにはいるきっかけはバイト募集のビラをみて、だったわけなんですが、しかしどうやら、はいってわかったんですが、このバイトは、みんなすでにいるバイトさんの紹介で、次のひとがきまることが多いらしい。だからビラで募集をかけるときは、どうしても知り合いや後輩にバイトをしたいとおもっている人がいない場合ということみたいで、ぼくはそんなタイミングでビラをみてはいってきたということなんです。う〜ん、タイミングって大事だなとおもいましたよ。そして今月からは、K本、ぼく、T井という3人体制でこのバイトがまわることとなった。しかし3人が一緒にやるということはないんだけどね。(つづく)
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どんぐり舎。第45話 [東京の喫茶店]

どんぐり舎という喫茶店は、ほんとにたくさんのいいお客さんに支えられている。そしてとても個性的なお客さんが多かった。ぼくは4年間というどんぐり舎での時間で、じつにたくさんのお客さんと出会い、そしてかわいがってもらい、成長させてもらった。人とのコミュニケーションをこの職場で学んだといっても過言ではないとおもう。思い出せば、じつにいろんな人とのさまざまなエピソードが蘇ってくる。それは楽しい思い出はもちろん、しんどかったな〜というたぐいの思い出もあるわけです。それらすべてを含めて、よい思い出なのです。たわいもない会話が、お客さんとぼくらスタッフがともにどんぐり舎という共通の愛すべき空間で交わされることによって、とても刺激的で、いきいきとしたものになるのです。まるで魔法のように。あのときの時間はぼくにとって、おおきなおおきな財産です。仕事中の忙しいときでも、じっと見守ってくれて、一段落したら、話しかけてくれる。そんな優しさのある人たちばかりでした。ぼくはただただ「ありがとうございました」と言いたい。そしてまたどんぐり舎で会って、お気に入りのコーヒーを飲みながら、あのときのことをお話したいなと、切におもっております。そんなわけで、次回は、ぼくが嫌いだったお客さんの話でもしましょうか笑。(つづく)
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どんぐり舎。第44話 [東京の喫茶店]

冬のどんぐり舎で思い出すのは、「アイスコーヒー」です。それはなんのことかというと、冬にアイスコーヒーのオーダーがはいると、ぼくは決まって、ある方法で、アイスコーヒーを出していたからです。つまり通常とは違った、どんぐり舎のルールにはないやり方で、ぼくはアイスコーヒーを作っていたのです。通常どんぐり舎ではアイスコーヒーは、いわゆる「つくりおき」をしておくわけです。夏なんかは、ひっきりなしに「アイスコーヒー」のオーダーがはいるので、「つくりおき」したアイスコーヒーを、どんどん出していかないと、まぁ回転がわるくなり、利益に結びつかないわけです。ですからどんぐり舎では、ホットのコーヒーは、「いれたて」ですが、アイスコーヒーは「いれたて」ではないんですね、じつは。と、ここまで話せば、もうおわかりかとおもいますが、ぼくは冬に限って、アイスコーヒーを「いれたて」で、お客さんにだしていました。なぜ冬に限ってかというと、冬はアイスコーヒーのオーダーがきわめて少ないからです。だから作りおきをせず、ぼくは一杯一杯作っていました。で、どのようにしてつくっていたか、今から説明します。一言でいえば、ホットコーヒーをつくる要領を、アイスコーヒーに適用しただけです。まずアイスコーヒーにいつも使っている透明で、縦長のグラスを用意し、氷を5、6個いれます(もっといれていたかも?)。そして、そのグラスの上に、円錐の形をしたフィルターをセットするプラスティックの抽出器(名前がわからん笑)を乗せ、紙のフィルターをセットします。そしてあらかじめ挽いたほろ苦の粉をさじ大盛り3杯いれます。そしてお湯をまずさーっと円を描くようにかけます。すると例のごとく粉が、ばぁ〜っとふくれあがってきます。そしてしばし間をおいて、粉の膨張が落ち着いたら、お湯を細く細くゆっくりと、渦巻きをえがくようにかけていきます。そしたら、だんだんお湯が、粉の中に浸透してきて、フィルターの抽出口から、ぽたぽたと、コーヒーがグラスへとおちていきます。かなり熱いので、氷に穴があいて(わかるかな?)それがだんだんと、氷を崩していきます。とにかく細くゆっくりお湯をかけることに、集中します。そしてコーヒーがグラスの半分くらいまで、落ちたら、また氷を、5、6個たします。そしてロングスプーンでかき混ぜて、出来上がりです。この作業、結構時間を要します。ですから冬場でしか実践できないんですが、できあがったアイスコーヒーが、めちゃくちゃうまいんです!!飲むと、最初「あれ薄いかな」とおもうんですが、あとからコーヒーの苦みと香りが舌の表面に広がってきます。ぼくはこれはお客さんに飲ませたい、とくにいつもアイスコーヒーを頼む常連さんにはぜひ、味わっていただきたいとおもい、いつもアイスコーヒーのオーダーがはいると、ものすごく気合いがはいっていました。たまに3人づれのお客さんで、3人とも「アイスコーヒー」を頼まれることが、あったんですが、そのときも時間をかけて(待たせてほんとすいません)、3人分つくりました。そしてなんとお褒めの言葉までいただいたのは、よい思い出です!しかし今の時代にはきっとあわないことなんだろうなぁとしみじみおもいます。いまは「スピード!スピード!」ですからね〜どこいっても待たせるとお客さんが怒ってきますからね。そう考えるとどんぐり舎のお客さんは時代と逆行している人が多いのかも。(つづく)

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どんぐり舎。第43話 [東京の喫茶店]

sora.jpg

ご報告があります。先ほどどんぐり舎でかつて一緒に働いていたあいざわくんから連絡がありました。
どんぐり舎のおじいちゃんが本日お昼に永眠されたそうです。享年90。おじいちゃんはぼくにとって、はじめての指導者であり、ぼくにとってはじめての仕事のパートナーでもありました。ときには厳しく、ときには優しい、といったらつきなみな言い方になってしまいますが、ぼくの記憶は美化されてしまっているところもあるので、いいことしかいえませんが、ほんとに素晴らしいよき人生の大先輩でした。いずれこの日がくることは、わかってはいましたが、いざこの日を迎えると、なにをいっていいものかと、すこし動揺してしまいます。ほんとに死んでしまったのですね。あれからずいぶん年月がたってしまいましたが、いまこうやってブログで、どんぐり舎のことをかき続けてこれたのは、おじいちゃんの存在のおおきさがあったからかもしれません。ほんとにほんとにいままでありがとうございました。そしていづれ、天国でお会いしましょう。安らかにお眠りください。
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どんぐり舎。第42話 [東京の喫茶店]

ある冬の日、いつものようにおじいちゃんと一緒に仕事をしていた。するとお客さんがふらっと入ってきた。年のころ70代くらいの老婦人で、毛糸の帽子をかぶっている。この人は最近頻繁にどんぐり舎にくるようになった新しい常連のお客さんで、注文はいつもきまって「ホットココア」。なにか寂しさをおびた、でもとてもチャーミングなおばあさんである。そして気づくと、そのおばあさんと、おじいちゃんがとても仲良くなっているのである。おじいちゃんはそのおばあさんがくると、隣へすわり、とても楽しそうに談笑している。話をきくと、そのおばあさんは未亡人らしく、いまは一人で暮らしているという。いったいなにを話をしていたかは、まったくわからないけど、はたからみていて、とてもお似合いの2人といった感じにはみえた。このおばあさんは、ある日を境に、ぜんぜんこなくなるのだけど、ぼくの記憶には、いまでも残っている、お客さんなのでした。どんぐり舎には、何十年も通っている、超ヘビーな常連さんがいるとおもえば、この冬の日だけ毎日のようにきていた老婦人の方のように、ある短期間だけ常連さんだった人まで、じつに、さまざまで、ぼくはそういう短い時間だけ顔をみせていたお客さんも、なぜか忘れられず、思い起こすのでした。(つづく)
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とんぐり舎。第41話 [東京の喫茶店]

冬のどんぐり舎もとても味わい深い思い出、風景が脳裏に焼き付いている。それはとても微笑ましいもでもあり、幻想的なものでもあり。外には、雪がちらつき始め、どんぐり舎の店内から眺める外の景色がぼくは、とても印象にのこっている。どんぐり舎の入り口のドアから眺める雪の景色は、とても静謐で、美しく、そして懐かしい。ついついボーッと眺めていると、「カランカラン」という鈴の音とともに、お客さんが、厚手のコートを着て、マフラーをしっかりと隙間なく首にまいて、やってくる。そしていつもはコーヒーを注文するはずなのに、「ココアにしようかな」といって、ほっとした表情とともに椅子に腰掛ける。ぼくはこんなささやかな冬のとあるシーンが、とてもいいなぁとおもっている。そしてそれは何年経っても忘れない場面だ。(つづく)
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どんぐり舎。第40話 [東京の喫茶店]

最後の一口はとても甘い味がした。カップの底にたまった砂糖が、ちょっとも拡散されずに、ほろ苦のコーヒーと混ざり合っている。そして僕は、飲み終わったカップをカウンターの台に置き、さっそくカウンターの中へとはいった。そして自分の飲んだカップを流し台で洗い、そのカップをすぐに背後にあるカップがたくさん陳列されている棚にしまった。しかしぼくは試しに自分で作ったりはしなかった。ちゃんとオーダーが入ったときに作ってみようと思った。作り方をしっかり見届けたからという理由ではなく、単なる怠惰な理由からだったようにも思える。(つづく)
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どんぐり舎。第39話 [東京の喫茶店]

ぼくは「はい。」と答え、カウンター越しの椅子からゆっくりと立ち上がり、たった今できたばかりのウインナーコーヒーのはいった白いカップを手にとろうとした。「あっ、ちょっと待って」とおばあちゃんが瞬時にぼくをよびとめた。「これをかけたほうがおいしいから」と、なにやら胡椒のような容器をとりだしてきて、蓋をあけホイップクリームで埋まっているウインナーコーヒーの表面にふりかけた。ぼくはおばあちゃんにきいた「いまのなんですか」「ん?シナモンよ」どんぐり舎のウインナーコーヒーには、シナモンを最後にふりかけるんだそうだ。うん、とてもいい香りがする。ぼくはシナモンが大好きなので、ますますウインナーコーヒーの試飲が楽しみになった。そして一口飲む。ホイップクリームで表面がうまっているせいで、コーヒーが口にそそがれず、クリームだけが口の中にはいっていった。クリームの甘さとシナモンの香りがとてもマッチしていてとてもおいしい。そして二口目。コーヒーあじわうために、すこし強めに吸い込み、そしてそのあとクリームを吸い込む。うん。コーヒーの苦味とクリームの甘さが対称をなしていて、それがまたとてもいいバランスでくちのなかに溶け込む。はぁ、いいなぁ、としみじみおもった。(つづく)
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